2025年11月8日
ハードウェア
ローカルLLM向けモデルごとのハードウェアの選び方
AI・画像生成・LLM時代に欠かせないGPU性能を徹底解説。RTX 5060 Tiなど最新モデルのスペック比較や用途別おすすめ構成を紹介。VRAM容量やCUDAコア数の見方、AI推論・学習に最適な選び方をわかりやすくまとめたガイドです。

はじめに:なぜ今“GPUスペック”が重要なのか
GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)は「パソコンの頭脳のもう一つ」と言える存在になっています。
特に近年では、ChatGPTやStable DiffusionなどのAIツールが一般化し、
「どのGPUを選べばAIモデルをローカルで動かせるのか?」という疑問を持つ方が急増しています。
この記事では、NVIDIAの「RTXシリーズ」を中心に、
GPUスペックの読み方、性能の見極め方、そしてAI・画像生成・LLM用途における最適な選び方をわかりやすく解説します。
RTXとは?GPUの基本構造をやさしく解説
GPUとは「画像処理を並列で行う専用プロセッサ」。
CPUが1つのタスクを順番に処理するのに対し、GPUは数千〜数万の演算コアで同時に処理できます。
その性能を示す代表的な指標がこちら👇
| 用語 | 意味 | AI用途での重要度 |
|---|---|---|
| CUDAコア数 | 並列演算ユニットの数。多いほど高速。 | ★★★★☆ |
| VRAM容量(GB) | モデル・画像データを保持するメモリ容量。 | ★★★★★ |
| メモリ帯域(GB/s) | データ転送速度。AI処理でのボトルネックに直結。 | ★★★★☆ |
| TDP(消費電力) | 高負荷時の電力目安。発熱・冷却設計に関係。 | ★★★☆☆ |
AI・画像生成・大規模言語モデル(LLM)では、
特に「VRAM容量」と「メモリ帯域」がボトルネックになります。
RTX世代の違いをざっくり整理(2025年版)
| 世代 | GPUアーキテクチャ | 代表モデル | VRAM容量 | 主な用途 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| RTX 30xx | Ampere | 3060 / 3080 / 3090 | 8〜24GB | ゲーム・動画編集 | 旧世代だがコスパ高 |
| RTX 40xx | Ada Lovelace | 4060 / 4070 / 4090 | 8〜24GB | AI生成 / LLM / 4K編集 | 現行主力 |
| RTX 50xx | Lovelace Refresh | 5060 / 5070 / 5090 | 8〜24GB | AIローカル運用・推論特化 | 消費電力改善/GDDR7採用 |
🔍 RTX 5060 Ti(16GB) は特に注目株:
- GDDR7メモリ搭載で高速帯域(約448GB/s)
- 消費電力 180W前後
- AI推論では 8B〜20Bモデル(4bit量子化)まで実用ライン
AI用途でのGPU選び:LLMやStable Diffusionでは何が効く?
1. LLM(大規模言語モデル)
- VRAM 16GB 以上推奨
- 7B〜13BモデルならRTX 4060 / 5060でも十分
- 20B以上を扱うならRTX 4070Ti〜4090クラス
| モデル規模 | 量子化 | 推奨GPU | 備考 |
|---|---|---|---|
| 7B | 4bit | RTX 4060 / 5060 | 快適に動作 |
| 13B | 4bit | RTX 4070 / 5070 | 実用速度 |
| 20B | 4bit | RTX 4070Ti / 4080 | オフロード併用 |
| 34B〜70B | 4bit | RTX 4090 / A6000以上 | 実験・検証レベル |
2. 画像生成(Stable Diffusion / ComfyUI)
- テクスチャ・ノイズ処理が重いためメモリ帯域とVRAM容量が重要
- RTX 4060(8GB)でも動くが、16GB以上推奨
- RTX 5060 Ti(16GB)はコスパ・速度バランス◎
3. AI学習・LoRA/ファインチューニング
- VRAM 24GB以上 or CPU併用構成必須
- RTX 4090(24GB)やGB10 Blackwell系が安定
- ローカルでは「LoRA/QLoRA」など軽量手法が主流
GPUスペックの“見方”まとめ:数字の裏にある実用感
| 指標 | 目安 | 意味すること |
|---|---|---|
| CUDAコア数 | 4000〜16000 | 並列演算能力(多いほど並列処理が得意) |
| VRAM容量 | 8〜24GB | モデルの同時展開・入力長の上限 |
| メモリ帯域 | 300〜1000GB/s | モデル読み込みや画像生成の速度 |
| TDP | 150〜450W | 電源・冷却に必要な設計余裕 |
| GPU長さ | 260〜350mm | ケース選定時の物理制約 |
💡 ポイント:
AIで「重い」と感じるときは、CPUよりGPUメモリ帯域やVRAMがボトルネックなことが多いです。
2025年時点でのおすすめ構成例(ローカルAIサーバ)
| 用途 | GPU | メモリ | 電源 | コメント |
|---|---|---|---|---|
| 軽量LLM・画像生成 | RTX 4060 / 5060 | 32GB | 650W | コンパクトでも安定稼働 |
| RAG / ファインチューニング対応 | RTX 4070Ti | 64GB | 850W | 13B〜20Bクラスを実用速度で |
| 研究・開発 / 34B〜70B試験 | RTX 4090 / 5090 | 128GB | 1000W | 本格AI開発環境 |
まとめ:数字より“使い方”で選ぶのが正解
RTXシリーズのどのGPUも、AI生成・LLM・動画編集に対応できます。
大事なのは「どんな規模のAIを動かしたいのか」。
- 推論中心・ローカル運用 → RTX 5060 / 4070クラス
- 学習や微調整もやりたい → RTX 4090クラス
- 省電力・常時稼働 → M4 Pro(Mac mini)やNVIDIA GB10系
AI開発・検証・RAG構築をローカルで進める場合、「RTX 5060 Ti(16GB)+32GBメモリ構成」はまさにベストバランスです。
価格・性能・拡張性すべての点で、次世代AIサーバminiの基礎になる構成といえます。